八重山上布は、苧麻糸を主原料とする織物です。八重山上布にはすり込み捺染による捺染上布と、糸を括り染めた括り上布とがあります。数ある沖縄織物の中でも、絣作りに「すり込み捺染」技法を用いるものは八重山上布のみで、夏着にふさわしく、白地に紅露の焦茶色の絣がくっきりと浮かんでいます。起源は定かではありませんが、1477年に与那国に漂着した、現在の韓国済州島の漁民が、与那国で苧麻の布が織られていることを伝えています。貢納布制度ができてからは王府の監督下で織られ、結果として精巧な絣柄織物が作られました。人頭税廃止後は、八重山の主要産業の一つに数えられるまでに発展しました。
八重山ミンサーは、木綿糸を藍やフクギなどで染めて経畝織に織った絣織物です。幅一寸五分から三寸程度の細帯のことをいいますが、近年は広幅の単帯用も増えています。起源は定かでありませんが、18世紀の初め、身分により服装を定める「冠簪の制」に木綿の使用が記されていることから、この頃には八重山地方で製織されていたと考えられています。
原材料 | 八重山上布 苧麻糸 / 八重山ミンサー 綿糸 |
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主な製造地 | 石垣市、竹富町 |
主な製品 | 着尺 / 帯・ネクタイなど |
組合名・設立年月日 | 石垣市織物事業協同組合(昭和51年12月23日)・竹富町織物事業協同組合(平成元年1月18日) |
国指定伝統的工芸品指定年月日 | 平成元年4月11日 |
県指定伝統工芸製品指定年月日 | 昭和49年6月11日 |
出典 | 工芸産業振興施策の概要 |